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俺設定とか厨二な事を垂れ流す、偶に海外旅行記
2024/05月

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ってー事で、むかーし書いたSSを晒してみる。


当時、どういうわけかビーストバインドの初版にはまった頃に書いた物。
元々リレー小説用の企画だったから、色々適当。

でも、もっと昔のSSみたいに死蔵されたまま破棄されるのも可哀想だから晒してみる。
厨二い内容だけど、いいと思うんだ。


あ、そのうち、自キャラSSでも書こう



んでわ、面白いかどうか知らないけど、暇ならどーぞ








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 灰色の空の下に、白い墓標の群がいやに映えていた。

 冷たい雨が降りしきる中、何をしに来た訳でも無いのに、私はまた此処に来ていた。

 何故なのだろう?

 彼が死んだと言う事実は変わる筈も無く、私もその事実を認識している筈なのに。おかしいとは解っている、もしかしたら何処かに“エラー”が生じているのかもしれない。

 けれど、彼はコレを“エラー”とは言わなかった。それは“感情”だと教えてくれた。なら…これはどう言った感情なのだろうか?考えた所で意味も答えも与えられなかった。何故なら、その答えを教えてくれる人は既に石柱の下であり、私にその答えとなるべき物は教えられていないのだから。

 ゆっくりと目線を下げて行く。そこには無機質な石の柱。等間隔に無数に並ぶその石の柱には、彼の名前、生まれた年、死んだ年、ただそれだけが刻まれていた。そこに人であったモノが埋まっていると言う石の目印。無論、そんなモノに意味は無ければ大層な理由が有るわけでも無い。ましてや、死人が死後に自分の記念碑を望むことはあり得ない。人が黄泉返る筈は無いのだから。だが、そんな物を大事に扱い、毎年決まった時期になると様子を確認しに来る人の行動が不思議でならなかった。

私は彼にそれは意味の無い事だと訴えた、そんな事をしてもその人との意思疎通が可能になる訳でもない、と。そんな私に彼は苦笑しながら答えてくれた。
『これは人間の中にある切り捨てられない思いとかをどうにかするために儀式だ』って。
 今の私ですら理解の出来ていない物を当時の私が理解出来る筈も無く、理論整然としているような反論をしては彼を困らせた物だ。

 無論、今の私が理解している訳でもない。機械である私が理解することなど、この先も永遠に無いのだろうと、そう考えていた。だが、少なくとも今は、理解できなくとも人々が“感情“と呼ぶ物に近いモノを形としてなら実行している。“感情”と呼ばれるモノに支配されている状態、彼はこの状態を…“感情に流されている”とか言っていたな。本来なら有り得ては行けない筈の行動。“プログラム”の合理性に真っ向から反抗するはずのこれは、或いは自己の崩壊を引起すほどに危ない物。その筈なのだけれども…そんな状態すらも心地良いと思える自分が居た。

 だから、だからこそ、私は此処に居られるのだと再認識が出来た。再確認を行うためだけに態々こんな所までやってきた。自らに障害を引起す可能性がある行動を行ってでも。そんな行動を自分が取れた事が嬉しかった。合理的である事を捨てた機械の先には自壊しか無いのは解っている。だけど、本来ならば一つと許されるはずの無い機械の行く先を幾数にも増やしてくれた彼に…もう、居なくなってしまった彼の為に此処に居られるのだから。

 コレが最後になるかもしれない…いや、“感傷”と呼ばれる物を差し引いても今が本当に最後、私が此処に来られる唯一の時間。計算を主とし、確率論の果てに生き長らえて来続けた私の最後。“感情”を下らないと切り捨てる為に創られ、本来持つ筈の無い物に振り回された挙句の暴挙。お笑い種、と言う奴なのだろう。実際、昔の私は同型機が同じ行動を取っていたとすればソレを排除対象とし、自らを持って破壊しただろう。それが本来の我々の行動、夢を見ない“自立型機械人形”の正しい在り方。

でも、今は違う、今なら解る。“感情”とか、“感傷”とか、そう言う“人間臭い”物に振り回されることの暖かさが解るから。

 肩に下げた半身の感触と、腰に吊るした相棒の重量を確認する。そこで確認できるのは、おおよそ“人間”として、この国で、この社会で生きて行くには不必要な物。そして、今から向かう先で唯一になる対抗手段。

「…多分、これで此処に来るのは最後になると思う…」

 彼の墓標に向かって、彼が私と喋っていて一番嬉しそうだった時の会話パターンや喋り方をトレースしながら言葉を音声として再生して行く。

 こんな状況でも冷静に判断をして動けている自分が嫌いだった。だけど、そんな事よりも大事だと思える事があった。それは自分の表情パターン。多分、今の自分はとっても“みっともない”と分類される表情をしていると思う。でも、そんな表情を作ってしまう事をとめられなくて、そんな顔を彼に見られたくなかった。

だから、私が知りうる最高の表情で、彼が一番喜んでいた表情をずっと貯めていた思いを告げて行く事にした。

「…だから…言いたかった事、一つだけ言って行くね…」

 少しだけ詰まりながら再生した言葉は、自分でも驚く程に不器用で、どうしようも無い物だった。そこに、機械としての正確さも、流麗さも存在しない。けれど、その方が人間だった彼には深く伝わりそうだったから、訂正はしない事にした。最後の一番肝心な部分は声に出さずに口の中だけで再生した。音に出して再生するよりは、彼に届きそうな気がしたから。解っている、本当は届きもしない事を。例え届いたとしても、人と魔物は逝く先が違って居る事も。

 それでも、伝えておきたかった事は全部言えた、ならこの場所に未練は無い。

 最後に、雨に濡れた彼の墓標を優しく撫でる。そこには彼の優しさも、暖かさも、柔らか味も無かった。でも、彼の温もりを感じたのは気のせいじゃ無いと思う。そして、そうやって雨に濡れた墓標が何となく、彼が泣いてくれているような気がしたから悪い気はしなかった。

「行って来ます。」

 たった一行の言葉。その言の葉に込められた思いは“再会への約束”。彼が私と最初に出会った時に教えてくれた言葉だった。だけど、もう、その約束を守る事は出来ない…そう考えると胸の何処かが軋みを上げた。“感情”を覚えたばかりに自分にはそれはとてもイタイものだったけれど、同時にとっても大事な物だって解った。

 だから、全部の思いを飲み込んで、私は彼の墓標の前から立ち去ることにした。

 彼が安全の為にと作ってくれた純白のコートも、今は雨のせいですっかり灰色じみた色になってしまっていた。そう言う意味でも私は雨が嫌いだった。でも、今はそんな雨にも少しだけ好感を持てる。

 

 何故って?

 
 

 

   雨の日なら、機械でも泣いている様に見えるから。

 

 

 

 


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はい、お目汚し失礼
懐かしいSSでーした、っと

因みに、元のアーキは【自動人形】、それに経験点二倍で《魔界のお目付け役》で魔剣をつけた感じのPC作る予定で書いた物でした。
ビバは2ndからしか知らないけど、後に初版をみて憧れて、初版だけ購入。
あのルールのピーキーさ加減に惚れた思い出が…ああ、懐かしい。

【魔王の息子】に《エンゼルフェザー》積んで、堕天使と魔王のハーフとかね。
ああ、いい物だった…

そーいや、3rdになって【地獄の道化師】復活を聞き及ぶ…
ぇ、マジで?
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